うつ病


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主な薬物療法

2008年06月30日

今までは,うつ病の治療法としてその効果が証明されていたのは,電気痙攣(けいれん)療法でした。電気痙攣(けいれん)療法は,その効果および安全性から保険が適用されます。一方,近年のその有効性が臨床的に科学的に実証されてきてるのが,薬物療法です。つまり抗うつ薬の投薬による物です。

抗うつ薬と言うのは,主としてうつ症状の緩和を目的として用いられる薬剤です。うつ病・うつ症状のほか,パニック障害や強迫性障害,摂食障害にも用いられます。不眠や慢性疼痛に対しても用いられる事があります。

抗うつ薬が効果を示す理由として,それがセトロニン,ノルアドレナリン,ドーパミン等の神経伝達物質に作用するからであるとされます。

主な抗うつ薬には次の物があります:
▼モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)
…副作用により扱いにくく,現在は大半使われません。
▼三環系抗うつ薬
▼四環系抗うつ薬
▼選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
▼セロトニン-ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI)
▼ドパミン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(DNRI)…日本国内においては未承認です。
▼塩酸ププロピオン(商品名:ウェルブトリン)

その他,
▼塩酸トラゾドン(商品名:レスリン,デジレル)
▼スルピリド(商品名:ドグマチール,アビリット,ミラドール)
▼リチウム塩(商品名:リーマス)

但し,抗うつ薬を用いる時にはその副作用に注意する必要があります。たとえば,古い世代の薬,三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬の場合,抗コリン作用等のあることから,口が渇く,便秘,目のかすみ,排尿困難等の副作用が出る事があります。更に,アドレナリンα受容体遮断作用からは低血圧,めまいが起こります。抗ヒスタミン作用により眠気,体重増加が起こります。
新しい世代の薬であるSSRIやSNRIじゃ比較的これらの副作用が少無いとはいえ,吐き気や性欲減退等の副作用が報告されています。

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音楽療法

2008年06月29日

うつ病の治療法としては,電気痙攣(けいれん)療法や薬物療法,認知行動療法が主体になり,ますが,そのほかにも,実験的段階である物や,限定的に行われる物として,睡眠を断つ「断眠療法」や強い光を浴びる「光療法」,運動によるストレス発散を目指す「運動療法」および,音楽を聴いたり演奏したりすることによる効果を応用する「音楽療法」があります。

音楽療法は,音楽の生理的・心理的・社会的効果を応用する事で心身の健康を快復させ,更に向上を目指すと言う医療行為ととらえる立場のある一方で,「現代西洋医学領域において,科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」として定義される,「代替医療」,あるいは「補完医療」とする立場もあります。

但し,バリー・キャシレスは,「音楽療法は立証済みの補完療法であり,多くの病状や問題に効果を上げてる。治療力は無く,いくつかの補完療法のように,重大疾患の治療法として勧められることも無い。だけども,優れた補完医療法の例にもれず,幸福感や生活の質を高め,症状を軽減し,初期治療やリハビリテーションの効果を高めてくれる」(『代替医療ガイドブック』春秋社p402)と述べています。

音楽療法の歴史は古く,創成期においては宗教と同時に生じ,儀式や呪術に用いられました。人の精神を鼓舞し,トランス状態を引き起こします。うつ病に対する治療効果も古くから認められており,旧約聖書「サムエル記」には,ダビデはサウルのうつ病を竪琴で治したと言う記述があります。

現在は,高齢者ケアや引きこもり児童のケアに用いられます。日本音楽療法学認定の音楽療法士と言う資格もあります。

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自尊心

2008年06月28日

うつ病の患者は,自尊心を失ってる事が多いと言う考えから,欧米のうつ病治療じゃ薬物療法と並行して,カウンセリングによる患者の自尊心の快復が行われるのが一般的です。

自尊心,および自尊感情と言うのは,自己の存在やあり方を大切に思う感情をいいます。self-esteemと言う訳語があてられる事が多いです。プライドや傲慢,驕り,および自惚れとは異なる物です。精神医学的な意味での自尊心とは,ありのままの自分自身を受け入れ,誇りをもつと言う事です。また日本語におけるプライドとは,自惚れや傲慢さを意味する事があり,自尊心とは区別する必要があります。プライド(pride)は,肯定的な意味で使われ無い事が多く,キリスト教においても人間を罪に導く可能性のあるとみなされる欲望や感情をあげた,「7つの大罪」とされています。

自己肯定感は人格形成や情緒の安定に重要であると考えられます。自尊心の無い者は自分自身を信用する事が出来ませ。その為自分自身の能力に対してさえ懐疑的になってしまい,主体性や自信を形成する事が出来ず,何も出来無くなってしまいます。更に,自尊心の欠如は,自制心(セルフ・コントロール)の喪失を招き,アルコールや薬物に対する依存症や,過食症・拒食症等の摂食障害と言った精神障害を招くこともあります。

但し,うつ病の治療においては過度の励ましは自尊心の快復で無く,単なるプレッシャーを与えるだけになら無いよう注意する事が大切です。プレッシャーは,事態をますます悪化させる恐れのあるからです。

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抗うつ薬使用の注意点

2008年06月27日

古い世代の抗うつ薬である,三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬と比べ,新しい世代の抗うつ薬であるSSRIやSNRIじゃ,排尿困難や眠気と言った副作用が軽減されてきたとはいえ,吐き気や性欲減退等の副作用のあることは確かです。

副作用以外にも,抗うつ薬を用いる際に注意すべき事がいくつかあります。

▼自殺の危険性

抗うつ薬,とりわけSSRIの処方を開始した直後に,未遂も含め,自殺のリスクが高まると言う報告があります。どうしてそうなるかは,色々な説があります。それまであまりにも重症で自殺の意欲すら無かった患者が自殺を図ろうと言う意欲をもってしまう,と言う説,あるいはSSRIが受容体のダウンレギュレーションを行うことから,処方を開始直後に一時的にうつ病の症状が悪化する,と言う説です。

▼躁状態の惹起

うつ状態の患者に抗うつ薬を投薬すると,躁状態になると言う物です。これは疫学上の反証はあるが経験的に知られています。

そのほか,抗うつ薬を服用すると気持ちが明るくなると言う事で,抗うつ薬を「ハッピードラッグ」として服用する例が近年,増加しています。前向きに生きる姿勢を促すことを目的としての事でしょうが,抗うつ薬の作用はとても 複雑であり,深刻な副作用をもたらすこともあります。安易な服用は脳の機能に変調をもたらす危険もあります。必ず,専門医の判断に基づいた処方が必要です。

うつ病の治療,特に内因性うつ病の場合は,その重症度にかかわらず投薬治療が行われるのが一般的ですが,抗うつ薬を用い無い治療法もあります。軽症の場合等は特に,カウンセリングと言った精神療法のみが用いられることもあります。

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季節性うつ病

2008年06月26日

冬の寒い時期には誰でも,気分が滅入ってしまう物ですが,高緯度地方に多く,冬季にうつ状態に陥る物で「季節性うつ病」があります。季節性情動障害(きせつせいじょうどうしょうがい)で,主に冬期にのみ抑うつ的な気分に陥り,食欲の低下,不眠等,うつ病に似た症状が出ます。季節性気分障害,季節性感情障害等と呼ばれます。患者の大部分は,冬以外の季節には正常な状態になる事が多いのが特徴です。

季節性うつ病は,日照時間の短いと発症すると考えられます。主に冬において,高緯度地域に発症率が高いこともその為でしょう。原因に関してはまだはっきりとはわかっていませんが,脳にあるちっちゃな内分泌器である,松果体(しょうかたい)で作り出されるメラトニンと言うホルモンが,日照時間が短い冬に過剰になり,それがうつ病の症状を引き起こすといわれています。

人におけるメラトニンの血中濃度は,昼に低く夜に高い,概日リズム(サーカディアン・リズム)を示し,睡眠と関連しています。季節性うつ病じゃ,このメラトニンが過剰になることから過眠や過食の症状が現れる事があります。メラトニンはアメリカじゃ栄養補助食品サプリメントとして,販売されており,安価で購入出来ます。不眠治療として用いられるのです。

メラトニンは,暗い所で多く生産されることから,季節性うつ病に対しては,外出を増やし,日光に多く当たる事が有効です。光療法といい,太陽光または人工光を浴びる治療法が勧められます。そのほか薬品による治療法も存在します。

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ソーシャル・スキル

2008年06月25日

うつ病の治療としては,今まではの電気痙攣(けいれん)療法や近年その効果が認められつつある薬物療法が主な物ですが,そのほか,抑うつ気分の背景にある認知のゆがみを自覚し,合理的な認知を形成する,認知行動療法等があります。更に,昨今,イギリスの小中学校等で重視されてる物として,社会技能またはソーシャル・スキルの育成があります。

ソーシャル・スキルとは,社会のなかでごく普通に他人と交わり,生活していくのに必要な能力の事です。心理社会的能力,ライフスキル,あるいは「生きる力」といわれることもあります。

国際連合の専門機関の一つである,WHO(世界保健機関)じゃ,社会技能を「日常生活のなかで出会う様々な問題や課題に,自分自身で,創造的でしかも効果ある対処の出来る能力」と定義しています。イギリスじゃ,PDHE(人格的,社会的健康教育)と称される教科を設定し,こんな能力の育成を図っています。

社会技能には次のような能力が含まれます:

意思決定
問題解決能力
創造力豊かな思考
クリティカルに考えていく力
効果的なコミュニケーション
対人関係スキル - 自己開示,質問する能力,聴くこと
自己意識
共感性
情動への対処
ストレスへの対処

これらの能力が発揮された結果,以下の能力が可能になり,ます:

(1)その場の雰囲気が分かる。
(2)自分自身の発した言動を相手がどのように受け取るか想像出来る。
(3)自分自身の考えを,上手に相手に伝える事が出来る。

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長期経過によるうつ病分類

2008年06月24日

うつ病の分類に関しては,症状自体から分類する方法として,アメリカの操作的診断基準DSMに基づき,その重症度から分類する方法と,うつ病の成因に着目し,心理的誘因が特定出来る物と出来無い物で分類する方法があります。そのほか,うつ病の長期的経過に基づく第3の方法があります。

うつ病の長期経過による分類:
▼躁うつ病
▼反復うつ病
▼単一エピソードうつ病

躁うつ病

躁うつ病と言うのは,うつ状態と躁状態を交互に繰り返す状態です。別名,双極性障害,または双極性感情障害と呼ばれます。双極性障害の生涯有病率は0.2パーセントから1.6パーセントとされます。うつ病自体は,6パーセントから15パーセントといわれていますから,それと比べれば低めですが,決して珍しい疾患とはいえ無いでしょう。根治は困難とされ,再発を繰り返す事が多いといわれます。その為生涯にわたって薬物投与による予防が求められる事が多いのが実情です。

反復うつ病

いわゆるハイで,エネルギーが高まった状態である,躁状態と,落ち込み,エネルギーが低下した状態である,うつ状態を繰り返すのがそううつ病であるのに対し,反復うつ病はうつ病を繰り返し生じる場合を言います。反復性うつ病と呼ばれます。遺伝研究からは,反復性うつ病も躁うつ病も同一の疾患であるとされます。

単一エピソードうつ病

単一エピソードうつ病は,再発しな言うつ病です。これは躁うつ病とは異なる疾患であると考えられています。

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箱庭療法の行い方

2008年06月23日

うつ病をもつ子ども(12歳未満の児童期と12歳から17歳までの思春期の子ども達)が増えてるなか,三環系抗うつ薬の投薬治療に並行して重視され,またその効果が期待されてるのが箱庭療法や遊戯療法等の心理療法です。

箱庭療法は具体的には次のような手順で行われます。

箱庭療法に用いられるのは,箱(縦57cm×横72cm×高さ7cm)です。箱のなかには砂が入っており,箱庭療法を行う部屋にはセラピストが用意した様々な道具類があります。ミニチュアのおもちゃ(様々な建物,人,動物,乗り物,木等)や,石,貝殻,ビー玉,そのほか怪獣等のあることもあります。カウンセラーが見守るなか,クライエントはこれらの道具を用いて,箱のなかに自由に「何か」を作っていきます。

カウンセラーは,こうして作られた物を,出来上がった箱庭が伝えるメッセージ,箱庭の変化等を,クライエントの内的世界を知る手がかりとしていくのです。箱庭を作ることは,カウンセラーにとっては,解釈の手がかりになる一方,クライエントにとっては自己表現療法になり,自己治癒力としての働きを担うとされます。

クライエントは,部屋に用意された様々なおもちゃ等を見回し,自分自身の世界を表現するのにぴったりと思われる物を選択します。たとえば,砂の上に貝殻を置き,葉っぱで飾る,その上に草花を一面に並べる,と言う時,最初の貝殻は死んだ世界,死・抑うつ・無気力を表し,その上を覆う花々は,華やかな外見の姿を示すとされます。表面と内面の落差を示してると解釈されます。

こんな箱庭療法は何度か繰り返され,ゆっくりとその回復を促していきます。

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うつ状態の分類

2008年06月22日

うつ病あるいはうつ状態の分類としては,1:うつ状態その物から分類する方法,と2:経過から分類する方法があります。

1.うつ状態その物から分類する方法には,大きくわけて(1)症状の重症度から区分する分類,と(2)うつ病の成因から分類する方法があります。

(1)症状の重症度による区分

アメリカの操作的診断基準,DSM(精神疾患の分類と診断の手引き)のⅢ維持以降(現在はIV),米国精神医学会はうつ病分類として,
▼「ある程度症状の重い大うつ病」と
▼「軽言うつ状態が続く気分変調症」に,うつ病性障害を2分しています。

(2)うつ病の成因からの区分

これは古典的な分類です。
▼「心理的誘因が明確で無い内因性うつ病」(狭義の「うつ病」)と,
▼「心理的誘因が特定出来る心因性うつ病」(狭義の「適応障害」)の2分法です。

重症度と言う症状のみで判断するDSM(精神疾患の分類と診断の手引き)等の分類は,客観的であることから研究には適しています。但し,臨床現場においてはどうしてうつ病になったのか,と言う心理的誘因の評価を欠かすことは出来ません。こちらの方が治療を進めていくうえじゃ大切といえるかもしれません。どうしてなら,心理的誘因が特定出来る場合(心因性うつ病),環境を改善する等,その原因を取り除けば達まち元気になれる可能性のあるからです。

(2)は古典的分類とされ,現在じゃ(1)が中心ですが,現在の病状を改善する為には何をすればいいのか,何をする事が出来るのかを明らかにし,症状を完全に撤去,あるいはそれとうまく付き合っていくようにするのが治療において大切になってくるのじゃ無いかと思います。

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根拠に基づいた医療

2008年06月21日

現在,医学の分野で問題となってることに「根拠に基づいた医療」と言う事があります。「根拠に基づいた医療」EBM:evidence-based medicineとは,「良心的に,明確に,分別を持って,最新最良の医学知見を用いる」conscientiousmexplicit,and judicious,use of current best evidence 医療のあり方をさします。

理論や経験,あるいは権威者の判断に頼っていた今まではの医学を反省し,治療効果,副作用,予後の予測等の臨床現場における疑問に関して考えていくと言う物です。なるべく客観的な疫学的観察や実験を根拠とし,患者といっしょに治療方針を決定していくことを目指す物です。

精神医学の分野においても,この「根拠に基づいた医療」の重要性が着目されています。治療介入とその結果の因果関係を明確にし,治療介入を行うことの有効性を評価していくのです。但し,評価の元になる結果は,数値で表すことの出来る生体データが主になり,ます。これは他の医学領域じゃ可能でも,精神科領域じゃ困難な事が多いのが実際です。その為重症度を評価する評価スケールの点数や,自殺の有無,入院期間を治療結果を示す客観的データとして用いています。

うつ病の評価に用いられる評価尺度としては次の物があります:

▼ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)
▼ベックうつ評価尺度(BDI)
▼モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)等

更に,現在精神医学で行われてる治療法には次の物があります:

▼脳に直接作用する治療
薬物療法,電気痙攣(けいれん)療法,経頭蓋磁気刺激,光療法,断眠療法,脳深部刺激療法
▼言語のやり取りを主とする治療
来談者中心療法,精神分析療法,家族療法,集団精神療法,認知療法,心理教育等
▼非言語的なやり取りを主とする治療
作業療法,自律訓練法,動作法等
▼社会的な治療
家庭環境や職場環境の調整,ジョブコーチ,訪問看護,デイケア,自助グループ(断酒会)等

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カテゴリ: うつ病

 

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